慢性炎症の背景には、食事や栄養のアンバランスだけでなく、リンパ管の流れの悪化も大きく関わっています。
リンパの流れが滞ると、老廃物や炎症性物質が排泄されずに組織に溜まり、炎症が長引いてしまうのです。
実際、私の院にも「慢性炎症」でご相談に来られる方が多くいらっしゃいます。
多くの方が分子栄養学的アプローチを試みており、それ自体は正しい方向性ですが、それだけでは改善が難しいケースも少なくありません。
筋肉の歪みによってリンパ管が圧迫され、流れが滞ってしまうことも、慢性炎症の大きな原因の一つだからです。
状況の整理
- 老廃物・炎症メディエーターの排泄不全
リンパ管は、組織から老廃物、余分な水分、免疫細胞、炎症性サイトカインなどを回収して血流へ戻す役割があります。
流れが滞ると炎症物質が局所に滞留し、慢性的な刺激源になります。 - 免疫細胞の移動障害
リンパ管を通じて抗原や免疫細胞がリンパ節に運ばれることで免疫応答が調整されます。
流れが悪いと免疫監視機能が低下し、炎症の収束が遅れる可能性があります。 - 浮腫による組織環境の悪化
リンパ液が溜まると浮腫が起き、組織の酸素供給や栄養供給が阻害されます。
低酸素環境は炎症を持続させ、線維化などの慢性変化を招くことがあります。 - 臨床例
二次性リンパ浮腫(がん治療後など)では、局所の慢性炎症・皮膚の硬化・感染反復が起こりやすいです。
動物実験でもリンパ管の損傷は慢性炎症を増悪させることが示されています。
つまり、リンパの流れは単なる「水はけ」ではなく、炎症を収束させる重要な免疫経路でもあるため、その停滞は慢性炎症のリスク要因になります。
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