私たちの身体にとってエネルギーとは何でしょう?
エネルギーが無いとはどういうことでしょう?
生体にとってのエネルギーの有無とは、ATPの生産能力の有無の事なんです。
ではATPとは何か?その生産能力は何か?見ていきましょう!
ATP=アデノシン三リン酸
アデニンとリボースに3個のリン酸(P)が結合した化合物です。
ここからリン酸が1つ外れるときに7・3kCalのエネルギーを放出します。
私たちは、糖質・脂質・タンパク質の三大栄養素をATPの材料として利用しています。
この三大栄養素は単純なカロリー源として利用されるだけではなく、病態の改善、正常な生理機能の維持するための分子として利用されるので、十分なカロリーの供給が必要となります。
三大栄養素がATPに変換されるには、一旦ATPの基質であるアセチルCOAに変換されなければ利用できません。
では違う物質であるタンパク質、グルコース、トリグリセリドがどのようにアセチルCOAに変換されるか見ていきましょう。
- タンパク質
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タンパク質は体内でアミノ酸まで分解され、アミノ基転移反応によりピルビン酸に変換されます、その際ビタミンB6が必要となります。図1参照しかしタンパク質は生理活性機能の主成分なので、タンパク質をエネルギー源として使わなくていい様に必要量の糖質、脂質を摂取すべきです。糖新生はあくまでも血糖値が低下し過ぎた時の、緊急反応と考えてくださいね。
- グルコース
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グルコースは体内でヘキソキナーゼがATPを使いグルコース6‐リン酸に変換し様々な酵素の代謝を受けてピルビン酸に変換されます。この経路は解糖系と呼ばれ酸素のない状態(無酸素運動など)では乳酸にまで変化します。ピルビン酸はPDHピルビン酸脱水素酵素(ビタミンB1が補酵素)によりアセチルCOAに変換されミトコンドリア内のクレブス回路に入りATPを合成するのですがPDHで処理できない量の糖質が供給されると、ピルビン酸は大量の乳酸に変換されます。乳酸はⅬ乳酸デヒトロゲナーゼと言う酵素によりピルビン酸に変換されるのですが、PDH活性低下で乳酸アシドーシスの原因となるのでビタミンB1の補給がとても重要になります。
- トリグリセリド(脂質)
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トリグリセリドからアセチルCOAへの変換はタンパク質やグルコースと比べて単純な反応であるビタミンB2を補酵素とするβ酸化によってアセチルCOAに変換されます。トリグリセリドを形成する脂肪酸の多くは長鎖脂肪酸で、ミトコンドリアに供給するためにはⅬカルニチンが必要となります。
- Ⅼカルニチン
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ⅬカルニチンはビタミンⅭを補酵素、鉄を補因子として生成されます。つまりビタミンB2、ビタミンⅭ、鉄が不足すると脂質を原料とする、ホルモンやコレステロール等の生成が上手くいかず、使われない脂質は体内に蓄積されることになります。中鎖脂肪酸はアセチルCOAに変換する過程にⅬカルニチンを使わずにATPを合成出来る脂肪酸です。
アセチルCOAに変換された三大栄養素はミトコンドリア内のクレブス回路(クエン酸回路,TCAサイクルとも言う)どのような経路でATPを合成するか、下記の図をご覧ください
この図を見ると上記した栄養素以外にアミノ酸、マグネシウム、マンガン、亜鉛、グルタチオン、THF(葉酸誘導体)も必要なことが分かります。
そして重要なことは重金属がこのサイクルを阻害することです!
Fl,Hg、As、Sb、これらはpm2・5にも含まれる物質ですから重金属排出のためカルシウムアパタイトなどの摂取も頭に入れておく必要があります。
三大栄養素の相互関係
実際にATPを合成する生体の反応はこれよりも遥かに複雑怪奇なのですが「初めての分子栄養学」としては先ずはこの辺りを理解して先に進む方がいいと思います。
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